〜城内試験(3)〜 ページ32
『入るよー』
「返事する前に入ってたきちゃダメでしょ、クレア嬢」
ノックしてすぐに入ってきたクレアにオビは仮にも男の部屋なんだからさ。と、覗いていた窓からクレアへと視線を移す。
『いやいや、ノックしたから良いでしょ。それともあたしに襲われるとでも?』
扉を閉めて部屋へと入ってきたクレアは薄く笑いながら、オビへと近寄っていく。
「そういうもんは、男がするもんでしょうが」
『あたしは違うかもよ…なんてね。何見てたの?』
体が密着するぎりぎりまで近寄ってから、するりと方向転換して、窓の外を眺めるクレアにオビは慣れたとでも言うように、あーねと答える。
「なんか騒がしいみたいだけど?」
『あー、宮廷薬剤師になる為の試験が泊まり込みであるみたい』
「じゃあ、あのお嬢さんも?」
『そ、白雪も今日から泊まり込み。まだ試験内容は知らないから、部屋に泊まりに行けるかわかんないけど』
「何、お嬢さんの部屋に泊まりに行くつもりなの?」
その声に窓から目を離しオビを見たクレアは、ゼンと同じこと言うなと頬を膨らます。
『説教はさっきされた』
「あははは、そっか主達にも同じこと言われたんだ」
でも、俺が言いたかったのは…と今度はオビがクレアに近寄る。
『なーに?』
「クレア嬢が、お嬢さんの所に行ったら俺、どうやって暇潰せばいいのかなーって」
それこそ、俺勝手に抜け出しちゃうよ?と大きく伸びをするオビに、それもそうだねぇと、クレアはオビの後ろ首に腕を絡め、ぐいっと近寄る。
「おっと…」
『なーに、寂しいの?あたしが白雪のとこに行ったら。それとも夜中もあたしに相手して欲しいわけ?』
「それもいいねー、どう今夜?」
『はっ…?』
何なら今でも構わないよ?と今度はオビがクレアの腰を両手で抱き寄せる。いつの間にか、オビのペースに巻き込まれていたクレアは、体を少し固くさせた。
「う、そ。」
『わっ…馬鹿、髪ぐしゃぐしゃんなるって』
「あー、ごめんごめん。意外と攻められ弱いんだねクレア嬢って」
ほんの少し顔を背けたクレアに気付いたオビは、体を離しクレアの頭をわしゃわしゃと撫でたのだ。
『うるさいー、あ…』
「ん?」
『今日の夜、デートしよっか』
「別にいいけど、ここから出たらクレア嬢が怒られちゃうんじゃないの」
何を思い立ったのか、デートに行こうと誘うクレア。ゼンに怒られる事を心配したオビに、クレアはにやりと悪戯顔をしたのだった。
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紅羽(プロフ) - 侵入者(2)の最後の方のハルカ侯爵の台詞で「第二王子付き側近の」のあとの夢主の名前が変換されていませんでしたよ!とっても面白いです!これからも応援しています!! (2018年8月2日 13時) (レス) id: de0e7143c3 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - 図書館戦争の続きが気になります (2017年8月28日 12時) (レス) id: 4d7851a43c (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ゆりなさん、コメントありがとうございます!いまは、少し更新をお休みしてますが、これからも応援宜しくお願いします! (2016年4月2日 21時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりな(プロフ) - 何回読んでも飽きずに楽しませてもらいました!!途中にある絵も最高でした!オビかっこいい。。。クレアさんの書く作品大好きです。これからも応援してます! (2016年4月2日 21時) (レス) id: 46ce333a3a (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - かぷさん» 応援ありがとうございます!読みやすいと言っていただけて光栄です!私の小説から原作を好きになって頂けたんですか!感謝感激です!これからもコメント頂けると嬉しいです! (2016年2月12日 1時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2014年10月7日 0時