〜侵入者(5)〜 ページ27
クレアが追いかけると当然の如く、逃げる男。しかし行く先は一つしかあらず、目的は白雪に関係する。クレアは、足を急がせ木を蹴っていく。
「やぁ、また会ったねお嬢さん」
男が不意に足を止める。
『飄々と何を抜かすかと思ったら、白雪に何の用?』
白雪が城の廊下を走り抜ける姿を木の上から横目に、目の前の男が持つクナイの様なものを見ながら警戒した様子で話す。
「教えないって言ったら?」
『力ずくで、聞き出す。嫌いじゃないでしょ?強引にされるのは』
ふふっと、妖艶に笑えば内腿に隠しつけていた短刀を構えた。
「まぁ、否定はしないけど気が向かないねぇ。それにお嬢さん、てっきり丸腰だと思ってたのに、しかもそんな所から出すなんてさ」
お兄さんびっくりだよ。などと呟いてからクレアに向かってクナイを続けざまに投げる。
『こっちは用があるから、しっかり構ってもらわないと…!』
短刀で投げられたクナイを弾いていくが、いつの間にか、男に間合いを詰められていて、短刀を握った手を強く掴まれてしまう。
「あんまり大きな口を聞かない方がいいんじゃない?」
『あーぁ、捕まっちゃった…でも、近くで見ると意外といい男みたいだね、もっと顔見せてよ』
腕を掴まれたというのに、少しもたじろぐ事もなく、寧ろ挑発的に身を寄せてくるクレアに男は薄く笑ってしまう。
「怖くないのかい?」
『慣れてるからね』
そしてまた、妖艶に笑うと男は手を離すどころか、クレアの腰を左手で抱き寄せた。
『キスでもしたいの?』
「さぁね、お嬢さんお名前は?」
『クレア…貴方は?』
「オビですよ、クレア嬢」
『そう。ねぇ、オビそろそろ離して。どうやら、話が纏まったみたい』
それとも続きでも期待していいの?と、少しつま先立ちをしてオビの耳元で囁けば、オビも、はははと笑い、手を離した。
どうやら、いつの間にかハルカ侯爵が白雪と話をしていたようで見たところハルカ侯爵は白雪の強い意志に負けたように見えた。
握られていた手首を軽くほぐしているクレアに、オビも油断をしていたのだろう。クレアは一息ついてから、大きな声を出す。
『白雪ー!』
「クレアさん…?」
「ちょ…」
クレアは、オビの手首を掴んで木から城の廊下へと飛び降りれば、オビはクレアの変わりように驚く。
「だ…誰っ…」
『重要参考人とでも、言っておこうかなー?』
「クレア嬢、なんかキャラ変わってないかい?」
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紅羽(プロフ) - 侵入者(2)の最後の方のハルカ侯爵の台詞で「第二王子付き側近の」のあとの夢主の名前が変換されていませんでしたよ!とっても面白いです!これからも応援しています!! (2018年8月2日 13時) (レス) id: de0e7143c3 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - 図書館戦争の続きが気になります (2017年8月28日 12時) (レス) id: 4d7851a43c (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ゆりなさん、コメントありがとうございます!いまは、少し更新をお休みしてますが、これからも応援宜しくお願いします! (2016年4月2日 21時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりな(プロフ) - 何回読んでも飽きずに楽しませてもらいました!!途中にある絵も最高でした!オビかっこいい。。。クレアさんの書く作品大好きです。これからも応援してます! (2016年4月2日 21時) (レス) id: 46ce333a3a (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - かぷさん» 応援ありがとうございます!読みやすいと言っていただけて光栄です!私の小説から原作を好きになって頂けたんですか!感謝感激です!これからもコメント頂けると嬉しいです! (2016年2月12日 1時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クレア | 作成日時:2014年10月7日 0時