〜出会い(５)〜 ページ5
「それ、私が切った髪を束ねておいたリボンと同じ…」
「は！？」
届け物を受け取ったゼンは白雪の発言に驚きを隠せないでいた。
「籠の中…見てもいいかな」
「あ？ああ…」
籠に掛けられていた布を取り除くと、そこには真っ赤な林檎が沢山入っていた。
「林檎…」
『タンバルンの林檎？』
「うわ、クレアさんっ」
いつの間にか背後にいたクレアに驚き、籠ごと落としそうになるのを、何とか死守した白雪。
「いきなり背後に立つな、クレア」
『これ、貰っても？』
「え、これですか？」
『うん』
どうぞ、と籠の中の林檎を一つ手渡せば、少しだけ、クレアが微笑んだように見えた。
「さっき、食べたばかりじゃなかったか？」
『いーの』
貰った林檎に嬉しそうに口付けると、部屋へと戻っていった。
「ーつまり、これの贈り主は家を空けて遠出をしている白雪の身を案じて、タンバルン国境手前の街まで迎えに来ていると…」
籠の中に入っていたメッセージカードを部屋で見ながら、話す二人。
「…随分と執念深い紳士のようだな？」
「あはは、うまいこと言うね」
「何を笑ってる！？国境越えて逃げるくらいの大事だったのか！？」
深刻な話だと言うのに笑う白雪に、ゼンは少し怒ったように言う。
「…相手が相手だったんで…タンバルンの…第一王子だったんで」
「ラジとかいうバカ王子か！」
勢いよくテーブルから立ち上がったせいで、痛めていた手を強打しもがく、ゼン。
「さすが…隣国にまでも…」
「…相手が相手、ね。まぁ、国境通過の記録から何から調べさせたのかもな。一度欲しいと思ったものは、自分の所有物に数えるんだろ」
「籠に入れるくらいわけないか…」
今度は深刻そうに呟く白雪に、ゼンは言葉を失う。
「え…」
「なんちゃって」
林檎を手に取り笑った白雪に、ゼンは言葉を失った。ゼンが席をたち白雪に近寄った時だった。
『…待って…もう一個、ちょーだい？』
「お前また気配消して…って、おいクレア」
のんびりした口調で現れたクレアは白雪から林檎を半ば奪うように取ると、目の前でそれをかじる。
『あー、やっぱり…』
口にした後すぐに、クレアはよろけ床に倒れた。
「クレア！」
「クレアさん！」
床に倒れたクレアに駆け寄り、ぐったりしてる姿を見ればゼンはかじりかけの林檎を手に取ると同じ様にかじる。
「白雪その林檎…お前は食うな。木々、ミツヒデ悪い、怒るなよ」
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紅羽(プロフ) - 侵入者(2)の最後の方のハルカ侯爵の台詞で「第二王子付き側近の」のあとの夢主の名前が変換されていませんでしたよ！とっても面白いです！これからも応援しています！！ (2018年8月2日 13時) (
レス) id: de0e7143c3 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - 図書館戦争の続きが気になります (2017年8月28日 12時) (レス) id: 4d7851a43c (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ゆりなさん、コメントありがとうございます！いまは、少し更新をお休みしてますが、これからも応援宜しくお願いします！ (2016年4月2日 21時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりな(プロフ) - 何回読んでも飽きずに楽しませてもらいました！！途中にある絵も最高でした！オビかっこいい。。。クレアさんの書く作品大好きです。これからも応援してます！ (2016年4月2日 21時) (レス) id: 46ce333a3a (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - かぷさん» 応援ありがとうございます！読みやすいと言っていただけて光栄です！私の小説から原作を好きになって頂けたんですか！感謝感激です！これからもコメント頂けると嬉しいです！ (2016年2月12日 1時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クレア | 作成日時：2014年10月7日 0時
