〜誘拐された赤髪(１１)〜 ページ21
『なーんてね？』
「…な……て、てめぇ」
『ん？巳早はこれだけじゃあ、足りなかった？』
「…く、そ…」
クレアは、巳早の股間を膝で思い切り蹴りあげると、巳早は地面へともう一度倒れる。
苦痛に溢れた面持ちで、地面へ倒れる姿に同じ痛みの分かるゼンも苦笑しながら巳早を見下ろしていた。
「もう止めろ、クレア」
『はーい』
ゼンに言われ地面に倒れていた巳早に馬乗りとなっていた、クレアは立ち上がるとゼンに縄を切ってもらう。
「痛ｯ…地位とか家名とかだって、財を失えば素っ裸になるんだぜ。稼げるもん使って稼いでおかねぇでどうすんの？」
巳早は少し痛みが和らいだのか、木に寄りかかると睨みながら白雪とクレアに語りかけた。
『もう一度、蹴られ「黙れ」…ゼン』
「…！」
「この娘達がお前の目にどう映ってるのかなんて知りたくもないけどな、白雪とクレアは一欠片だって道具とされる為にはない」
そのゼンの言葉に白雪は驚いた顔をする。
「白雪。この男、他に仲間は？」
「え？あ、どうだろ…誰にも会わなかったけど」
『居ないよ、こいつ一人』
「なんだよ、銀髪。いやクレアって名前だったな。さっき、あんな甘い声で巳早って呼んでたのによ、なぁ白雪？」
馴れ馴れしく名前を呼ぶ巳早に、クレアとゼンは苛立つ。
『五月蝿い、黙れ』
「その口で、名前を呼ぶな！！」
「なんだよ、お父さんかあんた？」
「…一人なら連れて山を下れるか、一緒に城まで護送しないでもふもとの役人に引き渡せばいいしな…」
クレアも居ることだしと、呟けば巳早が驚いて声をあげる。
「城！？あんた…実は何者？名は？」
「…ゼン」
「…！へぇ、聞き覚えがあるな…(クラリネス第二王子の名…)」
「白雪の友人だ」
この国に居るものなら知らぬ者は居ない名に、巳早は目を大きく見開いた。
『早く山降りよ。お腹減ったー』
「あ…髪が…」
『…あぁ、もう陽が暮れるからね』
「…」
気がつけば陽も暮れかけていて、クレアの髪は徐々に、純白へと変わっていてそれを初めて見た巳早は、言葉を失い目を離せないでいた。それに気がついたクレアは、不敵に小さく笑うとフードを被り先に山を下っていった。
「…んだよ、あいつ…」
ほんのり顔を赤らめる巳早には、誰も気づかず知っているのは本人とそれを見ていたクレアだけである。
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紅羽(プロフ) - 侵入者(2)の最後の方のハルカ侯爵の台詞で「第二王子付き側近の」のあとの夢主の名前が変換されていませんでしたよ！とっても面白いです！これからも応援しています！！ (2018年8月2日 13時) (
レス) id: de0e7143c3 (このIDを非表示/違反報告)
アキラ(プロフ) - 図書館戦争の続きが気になります (2017年8月28日 12時) (レス) id: 4d7851a43c (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ゆりなさん、コメントありがとうございます！いまは、少し更新をお休みしてますが、これからも応援宜しくお願いします！ (2016年4月2日 21時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
ゆりな(プロフ) - 何回読んでも飽きずに楽しませてもらいました！！途中にある絵も最高でした！オビかっこいい。。。クレアさんの書く作品大好きです。これからも応援してます！ (2016年4月2日 21時) (レス) id: 46ce333a3a (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - かぷさん» 応援ありがとうございます！読みやすいと言っていただけて光栄です！私の小説から原作を好きになって頂けたんですか！感謝感激です！これからもコメント頂けると嬉しいです！ (2016年2月12日 1時) (レス) id: 4a23c0f44d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クレア | 作成日時：2014年10月7日 0時
