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6分間のステージは、あっという間だった。
純粋に楽しみ、無事に終わった。
嬉しさもつかの間、弟の身を案ずる。
声をかけようと思ったら、すぐ隣に弟はいた。
立ち上がれないみたいで、足首を押さえていた。
恐らく、痛み止めの効果が切れてしまったのだろう。
人目があるから、ひとまず弟を背負い、人目の少ないところに移動した。
「…ごめん、」
『ううん、無事に終わった。それで良かったんだよ、』
弟は困ったように笑うと、こう続けた。
「…本当にもう、ダンスは続けられないかもしれないな、」
『…』
弟は相当の覚悟を持って、今回のダンス大会へ出場を決めた。
計り知れない痛みと苦しみと闘いながら、無事に終えた。
もう二度と戻ってこないであろう、数々の思い出。
覚えていたくはないことばかり、覚えている現実。
でもきっと、誰だって強くはないけれど。
弱くはないんじゃないか。
弟を見ながら、そう思った。
これからもふたりで、立ち向かっていこう。
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作者名：はるけいとつ | 作成日時：2023年7月5日 18時
