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父親が退院する前の日。
明日のために荷物を持ち帰ることに。
母親と共に、父親の元へ。
前の時みたいに、今度は父親に飲み物を頼まれ。
前に行った、自販機のあるスペースへと向かう。
『アベくん』
「あっ、ヒカルさん」
アベくんと、また会った。
彼はあまり顔色が良くなくて、苦笑いで。
胸に手を当てて、何回も苦しそうにしていた。
『大丈夫ですか？』
「すみません、大丈夫です」
「まだお店に伺えていなくてすみません」
『いえ、おかげさまで、父親も退院できることになって』
「そうなんですか、それは良かったです」
アベくんは、また、苦笑い。
「…それは、良かったですね」
『…アベくん、？』
アベくんは、何かを言いかけて、つぐんだ。
涙を流していた。
「僕は、弱い、」と、とめどなく流れる涙。
俺は何も、できなかった。
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作者名：はるけいとつ | 作成日時：2023年7月5日 18時
