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あの穏やかな表情の阿部ちゃんは、もう戻ってこないのだろうか。
いろいろなことが頭に過り、会うことが怖くなった。
でも、もしかしたらという一縷の望みもあり、彼の元へ向かっていた。
たくさんだった機械は少しずつ減っていき、部屋に入って面会できるようになった。
メンバーとの仕事や個人での仕事がない日は、少しの時間でも彼に会いに行った。
でも会う前にはなぜかいつも、緊張してしまう。
あの光景が蘇ってきて、怖くなってしまっていた。
阿部ちゃんが笑ってくれれば、あの穏やかな表情で話してくれれば。
こんなに怖いなんて、思わなかった。
聞きたいよ、阿部ちゃんの優しい言葉。
見たいよ、阿部ちゃんの優しい表情を。
だからさ、もう一回、“ふっか”って呼んでよ。
俺は何度でも、“阿部ちゃん”って呼ぶから。
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作者名：はるけいとつ | 作成日時：2023年7月5日 18時
