心の欠片。‐4【短編集】 (ページ28)

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デビューする前に、阿部ちゃんは“Snow Manを卒業”した。

理由は、“アイドルを続けられなくなったんだ”と、本人から聞いた。

詳しくは公表をしていないし、でも、一概に“不仲だから辞めた”という文字を並べるのは正しくない。

あの出来事は、大学院を修了してからのことで。

あれから2年弱が経ち、俺たちの念願であったデビューが決まった。

グループチャットは未だに稼働しており、もちろん、“6人”の。

阿部ちゃんが、それを望んだから。

俺らも、それを望んだから。

待ち望んだデビュー日は、偶然にもあの出来事があった日と同じだった。

デビューが決まってすぐ、阿部ちゃんにも、誰よりも早くみんなで伝えにいった。

窓の外から俺はそれを見ていたが、本当に嬉しそうだった。

文面だけでは伝わってこない感情が、存分に伝わってきた。

デビューしてからは有難いことに、たくさんお仕事を頂いていて。

全員での仕事に加えて、個人のお仕事も。

デビューシングルを阿部ちゃんにも手渡し、ジャケット写真も“素敵”と喜んでくれた。

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