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阿部くんは、我慢強さが長所であり、短所でもあるのかもしれない。
そんな彼を責めることなんか、できるわけがない。
彼の努力を見ていたから、一番間近で見ていたから。
大会なんて、どうでもいい。
彼のことを少しでも知れたら、彼のことを支えられたら。
これが俺の、本音だった。
彼の目には、俺のことが、どんな風に見えているか分からない。
もしかしたら、嫌われているかもしれないし。
全てを肯定されている、そんな気も全くしない。
ただ、彼のことを少しでも知って、負担を減らせることができたら。
その一心だった。
「…宮舘くんって、優しいね。」
『ううん、そんなことないよ。』
やっと、少し笑ってくれた。
次の年の冬、リベンジの大会。
緊張している俺の横で、真っ直ぐ前を見つめる、阿部くん。
「…覚悟、できてる？」
『うん、』
「俺も、できてるよ。」
スポットライトが照るステージへ。
星を目指して、ただひたむきに。
fin.
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作者名：はるけいとつ | 作成日時：2023年7月5日 18時
