心の欠片。‐4【短編集】 (ページ18)

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いろいろと思い出していく中で、今日がデビュー日だと思い出した。

でも、その会見が俺のせいで、1週間後になったらしい。

翔太は真っ直ぐに言葉を伝えてくれて、思いも伝えてくれた。

『笑えなくとも、一緒にステージに立ちたい』と。

あれから1週間後。

デビュー日から1週間遅れて、会見を行なった。

憧れのステージに立ち、舞台裏で円陣を全員で。

忙しい、なんて言い訳にはできない。

これからが、本当の“忙しい”ということだから。

『一度きりのステージ、楽しもうな。』

「…うん、」

笑えない俺に、微笑みかけてくれた翔太。

ありがとうと伝えたかったけれど、今は心の奥に留めておくことにした。

会見はどんな質問が飛んでくるか分からないため、恐怖があった。

でも、翔太を始め、メンバーがフォローしてくれた。

本当に、このメンバーとデビューできてよかった、と思った瞬間だった。

たくさん向けられるカメラにも、出来る限り、口角を上げた。

隣にいる翔太が、笑ってくれた。

俺も自然と、笑顔になれた。

まだ完全な笑顔ではないけれど、まだまだこれから。

ファンの皆さんの、輝く笑顔が見られる、その時まで。

その日まで、笑顔でいよう、そう決心できた日。

fin.

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