心の欠片。‐4【短編集】 (ページ16)

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重たい瞼を開けると、誰かが自分の手に触れていた。

誰だろうと確認したかったから、少し頭を上げる。

頭痛がして、体の怠さも感じて。

起き上がろうとしたのに、それを許してくれなかった。

自分の手に触れていた誰かも、それを許してくれなかった。

『…ごめんな、』

声色だけで、翔太だと分かった。

いつもの穏やかな声色の中に、少しひんやりとしたものを感じた。

俺は目を開けていたけれど、彼に返す言葉が思いつかなかった。

自分で自分の体調管理もできない、自分で自分をコントロールできない。

そんな俺が、笑っては、いけない気がした。

思い通りに動かない体は、何日経っても変わらなかった。

それに加えて、熱も下がっていない。

そのせいなのか、常に無の状態。

なにも考えられない、仕事のことも、メンバーのことも。

あれから何日経ったのかな、気が付けばもう。

『…阿部ちゃん、今日、何の日か知ってる？』

「…」

日付の感覚もなくなっていて、自分の状態も分からなくて。

夢の中にいるような、そんな気がした。

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