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阿部ちゃんは、ゆっくりと体を起き上がらせようとする。
ゆっくり制止して、でも、阿部ちゃんは首を横に振る。
「こんなことまで止められるなんて、俺、」と言った。
ゆっくりその手を離すと、ほんのり笑ってくれた。
阿部ちゃんはカレンダーを手に取ると、「覚えてる？」と話を切り出した。
今から6年前の、5月3日。
結成日に、後輩のデビューが決まったと聞かされたあの日に。
グループの単独公演、初日。
その舞台裏で6人、誓い合ったよね。
俺、ちゃんと覚えているよ。
絶対叶えようって、みんなの意思を統一して。
少し涙を浮かべながらも、固く固く、誓い合ったよね。
「俺の、せいだよね、」
『…阿部ちゃんっ、』
治療が進んでいく中で、同時に、病状も良し悪しで。
完治する可能性を半分という、そんな中で。
笑顔を見せてくれる阿部ちゃん。
『大丈夫なんて確信はないけど、絶対、デビューしよう、』
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作者名：はるけいとつ | 作成日時：2023年7月5日 18時
