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黙ったままの彼を、放っておくことはできなかった。
顔色が悪いし、どことなく足元がふらついていて。
床に倒れこんでしまいそうになり、ギリギリで受け止めた。
呼吸は荒く、弱々しく手で胸の辺りを抑えていた。
祈るように椅子に座って待っていると、看護師さんが声をかけてくれた。
『彼は、大丈夫なんですか？』
“ええ、少し疲れが出てしまったみたいです。”
病室に案内してもらい、機械につながれ、チューブをつけた彼の近くの椅子に座る。
なぜ彼はすぐに外庭から室内に戻らなかったのか、疑問に思うことはたくさんあった。
彼は、しばらくしてから目を開けた。
ゆっくり起き上がると、「…また、」とひと言。
その「…また、」の意味が気になり、思わず口が先走った。
『…また、って、？』
「……あのまま雨に打たれてれば、あのまま、」
チューブに手をかける彼を見て、ひとつの、理由を見つけた。
そのチューブにかかった手を優しく引き止め、言葉を紡ぐ。
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作者名：はるけいとつ | 作成日時：2023年3月29日 15時
