心の欠片。‐3【短編集】 (ページ24)

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「どう頑張っても、上手く生きられない」

『なんでそんなこと言うの？』

「だって、」

そう言う弟を、ほんのり抱きしめる。

弟は驚いたような表情をしていたけれど、少し経つといつもの笑顔に戻る。

言った弟は何も悪くない。

そんなことを言わせてしまった俺が、悪い。

『そんなことない、生きていてくれるだけで十分だよ？』

「…本当に、迷惑じゃない？」

『うん、生きていてくれることが、何よりだよ』

「ひかる」

「ありがとう」

無事に迎えることができた、誕生日。

前から準備をしていた、弟へのプレゼント。

母親と共に、それを持って弟の元へ向かう。

『おはよう』

「おはよう」

今日は体調が良さそうな、弟。

そんな弟に『これ、お誕生日おめでとう』と手渡す。

「えっ、いいの？ありがとう」と弟は嬉しそうに受け取ってくれた。

中身は、俺と弟、色違いのパーカー。

『俺と色違い、俺が黄色で亮平が緑だよ』

「嬉しい、本当にありがとう」

その笑顔が見たかった。

上手く生きるのが全てではない。

その笑顔を見せてくれることが、俺にとって一番だよ？

fin.

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