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目は閉じていたけど、音は聴こえている。






メンバーの誰かがリハーサル室に入ってきたのが、足音で分かった。


でも目を開ければ、誰かに声をかけられるに違いない。






目を閉じていれば必然的に、その状況は起こらないと判断した。






さっきと変わらない体調に、話すことだけでも体力を使いそうで。













もうそろそろかなと、メンバーの声がする。






そろそろリハーサルが始まる時間か。


でも体は途轍もなく重く、起き上がることもできないだろう。






でも、ここで起き上がらないと、メンバーには怪しまれることだろう。






いや、もうすでに怪しまれているかもしれない。













薬が効いたのか、少し楽になった体。






このタイミングしかないと思い、目を開けて、ゆっくり起き上がる。


荷物を片付け、リハーサル前にストレッチをする。






まだ体の重さと怠さが残っていたが、さっきほどではなかった。













「…あと少し、持ちますように」














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作者名:はるけいとつ | 作成日時:2023年3月29日 15時

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