心の欠片。‐2【短編集】 (ページ28)

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あの仕事以来、彼にくる仕事はなくなったと聞いた。

それも致し方無いのかもしれない。

けれど俺は、それはおかしいと思った。

彼が悪いわけではない、誰か他人によって書かれた記事によって、彼は苦しめられているのに。

何もできない自分が途轍もなく嫌で、でも、メンバーの誰にも相談ができない。

でも一番苦しんでいるのは、間違いなく、最年少の彼。

今彼の周りには、味方がいないかもしれない。だったら、

たったひとりでも、俺が彼の“最大の味方”になればいい。

彼が悪者になっているのは違う、彼は被害者だと。

彼の気持ちに寄り添う、そんなことが必要だと。

でも、どうすればいいのか分からない。

そんな時だった。

“阿部が病院に搬送された”とマネージャーから連絡があった。

詳しいことは病院で、と。

真っ白で無機質な空間に横たわる彼は、頭には包帯、腕にも包帯が巻かれていた。

たくさんの機械に繋がれた彼は、苦しそうな表情で眠っていた。

恐れていたことが起きたんだと、俺は理解した。

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