心の欠片。‐2【短編集】 (ページ22)

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お昼休みの時間。

いつもの定番は、母親が作ってくれたお弁当を、2人揃って食べること。

弟は緑の包みに、俺のは青の包みに。

俺が青がいい！って言ったら、じゃあ俺は緑かなって。

後から聞いた話、弟も青が良かったらしいけど、譲ってくれたんだって。

どこまでも優しい、そんな弟。

5時間目の授業は、音楽。

校舎を移動して、階段を上って。

なんで音楽室って、4階なんだろう。

この時ほど、それを恨んだことはない。

『荷物持つよ』

「大丈夫だよ、自分で持つ」

少しでも弟の負担を減らそうと、そう言う弟の荷物を預かる。

移動教室の時は、誰よりも早く移動を始める。

弟の負担が、それで少しでも減るのであれば。

とはいえ、まだ昼休み。

高校生だというのに、階段や廊下を走り回る奴らがいるわけで。

弟は手すりを掴んでいた手をそっと離し、恐る恐る階段を上っていく。

俺が手を差し出すと、弟は首を横に振る。

ごめんな、きちんとお前のこと分かってやれなくて。

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