心の欠片。【短編集】 (ページ47)

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CDデビューが決まったと、社長から聞いた。

もうその時には、社長に退所を伝えた後だった。

5人には“俺の分まで、これからも夢を叶え続けてほしい”と伝えてほしい、と。

でも社長は納得したようで、納得のいっていないような表情をしていた。

多分、俺の表情に出ていたのかな。自分では気づかない、感情が。

“もし阿部さえよければ、Snow Manのマネージャーとして戻ってこないか？”

退所を伝えた後なのに、社長はそう言った。

「考えさせてください」と言うほかなかった。

「デビュー、決まったんだって？」

『…あぁ、うん』

「社長から聞いたよ」

舘さんは複雑そうな表情を見せ、何か言いたげで。

ごめんね、迷惑ばかりかけて。

「心配しないで。治療は順調に進んでいるし、もう少ししたら通院治療に切り替わるから」

『…そうなんだ』

「ありがとう、今まで。楽しかった」

本当は俺だって、こんなことを言いたくなかった。

他のメンバーと会うことは怖かったから、舘さんからみんなに伝えてもらうことにした。

どうしても、こうするしかなかった。

待ってて、もう少し。

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