心の欠片。【短編集】 (ページ45)

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“阿部が意識を失った”

マネージャーのいつになく焦る声に、急いで病院へ向かった。

急激な症状の悪化により、意識のない状態らしい。

ナースコールは押されなかった、らしい。

意識のない状態だが、一命は取り留めたと聞いた。

まだまだ気の抜けない状態は続くかもしれないが、ひとまず安心してください、と言われた。

たくさんの機械につながれた最年少は、少し寂しげな表情をしているようにも見えた。

たくさん苦しかったんだろうな、辛かったんだろうな。

今にもいなくなってしまいそうな儚さに、思わず手に触れる。

少し手先が冷たくなっていて、彼の闘った証を感じる。

いつもなら恥ずかしがるであろう、頭にもそっと触れる。

彼の存在を確かめたくて、いつもなら「恥ずかしいからやめてよ」って笑いながら言ってくれるのに。

今は機械音が響くだけ。

なあ、阿部。

阿部がいなくちゃ、Snow Manは成り立たないんだよ。

いつものように笑ってみせてよ。

いつものように冗談言って笑わせてよ。

『阿部がいないと、寂しいんだよ』

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