心の欠片。【短編集】 (ページ24)

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久しぶりに会った、メンバー。

怖くてみんなの顔を見ることができなくて。

ずっと俯いていたら、

『阿部ちゃん、みんな笑ってる。なんでか分かる？阿部ちゃんがいるからだよ』

“阿部ちゃんがいない間、みんなから笑顔が消えていたんだ”と佐久間は言う。

その言葉が嬉しくて、ほんのり微笑むことができた。

下を向いていた顔を上げて、みんなの顔を見る。

ふっかも、佐久間も、翔太も、ひかるも、舘さんも。

みんな笑っていた、笑顔だった。

『6人揃ったね』

みんなで顔を見合わせ、頷く。

溢れる笑顔に、俺は涙が零れる。

背中を支えてくれる、佐久間。

しばらく芽生えてこなかった、“アイドルを続けたい”という俺のわがまま。

2年経った今、そのわがままも叶い、アイドルとして活動させてもらっている。

治療も順調に進み、“寛解”と呼ばれるところまで来ている。

まだ定期的な通院と服薬は必要だけれど。

今こうやって、歌ったり踊ったり、クイズ番組に出演させてもらっていること。

当たり前ではないことに感謝したい。

そんな日常を手に掴んだこと、掴んでみせたと言ってもいいのかな。

これからも様々なことで、“俺らだけの”を掴んでみせるよ。

fin.

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