心の欠片。【短編集】 (ページ21)

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治療を受けないと生きられない、そう告げられた。

デビューしたばかりなのに、これから、という時に。

その時考えられたのは、今までジュニアとして過ごしてきた、15年は無駄だったんだということ。

時間が掛かってもデビューできたことは、事実。

ただ、病気が発覚したのが、デビュー直後。

あぁ、俺のあの15年間は、無駄だったんだって。

メンバーには伝えたが、顔を合わせることが怖くなって。

治療すれば治るかもしれないし、そうではないかもしれない。

どちらの可能性も半々だと告げられ、余計に怖くなった。

お見舞いに来てくれるメンバーにも、会わず、“面会謝絶”を出してもらった。

終わりを目の前にした時、人間はこういう感情、気持ちになるんだって感じて。

携帯を開くこともなく、病室から出て外の風景を見る訳でもなく。

「このままどうなっても、自分のせいだもんな」

大好きだった勉強をすることもなく、ただただ毎日の治療の副作用に耐え。

でも副作用は思いのほか辛く、気付けば数日経っていた、ということも。

治療を始めて、2ヶ月ぐらい経った時、

“一時退院を許可します”

「…ありがとうございます」

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