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阿部ちゃんが倒れたのを、俺だけが目撃した。
6人での現場で、思わず言葉を失ってしまったことを、今でも覚えている。
そのぐらい衝撃的なことで、恐怖さえ覚えた。
阿部ちゃんがいなくなっちゃうんじゃないかって、怖くて。
目が覚めた阿部ちゃんは開口一番、
「ごめん、隠してて。本当はそんなつもりはなかった、ただ、迷惑をかけたくなかった」と言った。
長年シンメとして活動してきた、俺と阿部ちゃん。
グループを結成してからも長いから、それだけ信頼関係もあると俺は思っていた。
それなのに、阿部ちゃんは伝えてくれなかった。
悔しくて、俺らってそんなに頼りなかった？って。
昔からそうだった。
グループ最年少の彼は頼りになるし、我慢強いし、真面目だし。
優しい性格だけど、弱音を一切吐かないから、それが心配で。
俺が『ううん、大丈夫。でも、教えてほしかった』と言った時、「ごめん」と言った。
そういうことじゃないと、すぐに言えればよかったのに。
沈黙が続いた。
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作者名：はるけいとつ | 作成日時：2023年2月23日 20時
