心の欠片。【短編集】 (ページ19)

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【この手に掴んでみせる】‐sk ページ19

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CDデビューをして、もう2年が経った。

デビューしてからの2年間は、様々なことがあった。

いいことはもちろん、そうでないこともたくさん。

そうでないことの方が、多かったかな。

デビュー直後に発覚した、病気。

治療は辛く苦しく、仕事のことなんて考えられない。

明日をも分からない毎日を過ごす、今もそう。

アイドルとして、芸能界に戻ってこられるのか？

もう戻れないかなって、自分でも、痛いほど分かる。

最初は目眩から始まり、傾眠もあったり、頭痛もあったり。

体調不良が常に付き纏い、仕事をキャンセルすることが多くなった。

みんなに迷惑をかけたくない一心で、メンバーには隠していた。

でもある時みんながいる現場で、俺は倒れた。

目が覚めた時には、メンバーみんなが何とも言えない表情をしていて。

あぁ、また迷惑をかけちゃったんだな、と。

「ごめん、隠してて。本当はそんなつもりはなかった、ただ、迷惑をかけたくなかった」

『ううん、大丈夫。でも、教えてほしかった』

あの時の佐久間の表情、今でも忘れられない。

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