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よく見れば、あの2週間前の人と似ていた。
怖くて、掴んだ腕を離せなかった。
その、腕を掴んだまま離さないでいると、軽く振り払われた。
またあの時と同じように、何事もなかったかのように立ち去る。
彼は俺の家の前を通り過ぎ、さっきの橋の下にある川へ向かっていく。
階段を下り、何の躊躇もなく川へ入っていく。
いろんな事態が想像でき、思わず腕を引っ張る。
「……」
『…大丈夫、ですか？』
よく見れば彼は、息を切らし、触れた体はほんのり熱を持っていて。
近くの病院へ、彼を背負って走った。
“阿部くん、また脱走したんだって？”
『…えっ、』
“わざわざありがとうございます”
『…良ければ、詳しくお話を聞かせていただけませんか？』
話を聞けば、彼はこの病院に入院している患者さんだと知る。
家族も居らず、“施設”で過ごしているらしく、今は体調を崩していて入院中。
もうこの1ヶ月で、12回目だという。
“実は彼ね、生まれつきの難聴なの”
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作者名：はるけいとつ | 作成日時：2023年2月23日 20時
