雪道を歩く (ページ30)

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阿部「お久しぶりです、今日はよろしくお願いいたします。」

『こちらこそ、よろしくお願いいたします。』

その6日後、阿部と会うことができた。

その隣には、深澤がいた。

阿部「今日はいい天気ですね。晴天だと、なんとなく気分も上がる気がしますね。」

常に笑顔のまま、言葉を丁寧に連ねる阿部。

彼の常に全力で礼儀正しい性格は、ずっと変わらない。

どの現場でも、いつも笑顔で対応してくれる。

阿部「アイドルなら常に全力でって、僕が言ったのに。僕がそれをできていないって、矛盾してますよね、」

深澤「全力過ぎんのよ、阿部ちゃんは。」

深澤の言葉は、どこか深く刺さるものがある。

阿部もゆっくり頷いているが、きっと、彼らは通じあっているから。

深澤は笑みを浮かべながら、こう言う。

深澤「アイドルだからって、常に笑顔は難しいことです。俺らだって、いち人間ですからね。でも阿部ちゃんは、それを貫いている。」

深澤「すごいですよね。でもそれを裏返せば、どれだけ辛いことがあっても、メンバーの俺らにでさえ、言ってくれないってことですからね。」

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