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彼はそれでも泣かなかった。
多分だけど、心のトビラを閉ざしてしまっているんだと思う。
ある程度の耐性ができていて、多少のことでは反応しない体になってしまっている。
笑顔以外の感情を捨てることで、どうにか自分を守ってきたんだね。
阿部「ありがとうございます、聞いていただいて。」
高地「ううん、こちらこそ聞かせてくれてありがとうね。」
その堅く閉じられた心のトビラを、いつか少しでも開けられるように。
僕にできることは、それぐらいしか今は思いつかなかった。
一方の渡辺くん。
彼は阿部くん以上に、人を怖がっている状態。
無理に近づくこともできず、目線はずっと合っているのに会話は成り立たない。
目線はずっと睨むような感じで、彼の症状の重度さを感じることができた。
宮舘「焦んなくて大丈夫だから。徐々に、彼のペースでやってもらったらいいから。」
高地「そうですよね、善処します。」
少しずつでもいいから、慣れること、頑張っていこう。
十分頑張っているのに、さらに頑張れなんて…言ってもいいのだろうか？
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作者名：はるけいとつ | 作成日時：2021年3月30日 21時
