夢を魅て、悪夢を見た。 (ページ25)

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あれから時は過ぎ、すっかり冬に入った。

阿部ちゃんの体調は絶好調で、晴れた日には外庭でお散歩をしたりと、穏やかな日々が続いていた。

阿部「今日って、何時からリハビリだっけ？」

八乙女「今日は１４時からだよ。」

阿部「じゃあ、それまで勉強するね。」

渡辺「阿部ちゃん、前より明るくなった？」

阿部「そう？自分じゃ分からないけど、そう見えてるんだ。」

あれだけ拒んでいた面会も、もう拒まないようになった。

少しネガティブになっていたようだったけど、それも少し前向きになったみたい。

宮館「左手の握力、前より上がってるね。」

阿部「ふふっ、良かった。」

渡辺「阿部ちゃん、努力してるもんね。」

学校への復帰の準備も順調に進み、後は腫瘍の進行が止められているか。

櫻井「明日手術だから、しばらくご飯は食べれないけど、我慢して？」

阿部「ふふっ、大丈夫だよ。慣れてる。」

最初の治療から約１年

この手術後の結果次第で、“退院”という、いい未来が待っている。

僕が叶わなかったように、順調な経過を辿って、幸せに暮らしてほしい。

阿部ちゃんには、無限大の未来が待っているんだから。

阿部「大学に進んで、大学院までいきたいなぁ。」

夢は、見るものじゃない。叶えるもの。

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