3年z組の転校生

烏の来訪 ページ36

期末テストも終わり、高杉さんのグループは『万事部』という部活を立ち上げた。なんでも、日頃の行いが悪いので校長先生らに、「学校の為になるような事を」ということで奉仕活動をするように言われたのだ。内容は生徒に依頼を受けてその依頼に応えるというものだ。それでプール掃除や、文芸作品を創ったりと色々なことをしたのだ。私の親戚の総理大臣、徳川茂茂さんも銀魂高校に訪問した際、『万事部』に体験入部をしていた。しかし、天照院高校に来島さんを拐われて乱闘しそうになり、z組や他の学校に協力してもらって乱闘は避けたが、高杉さんは殴られてしまった。そして１ヶ月で終わる予定だった『万事部』も、もう１ヶ月続行になった。

貴「高杉さんのケガ、早く治ると良いけど。」
学校の帰り道、私は独りそう呟いた。すると、
カア、カア。と、不気味な声が聞こえた。上を見ると烏が飛んでいた。私は、再び正面に向くと…
？「…」
貴「！」
一人の男性がいた。制服は先日見た天照院高校のもの。…その男性は天照院高校のリーダー格である…朧さんだった。
貴「…(高杉さんを殴った人…)」
ゴクリと、唾を飲んだ。彼の纏うオーラは普通の人のものではない。私は足がすくんだ。怖くて動けない。漫画やドラマでしかない状況が起きている。
朧「…お前が…」
貴「…」
彼は私に近づいてくる。私は後退りすら出来ない。
朧「高杉が気に入っている女か…」
貴「！何を言って…」
声が上手く出せない。
朧「あの時…仲間の女ではなくお前を拐っていれば、間違いなく高杉を潰す事が出来ただろう。」
貴「！」
彼の言葉に背筋が凍った。すると、朧さんは私の頬に触れた。
朧「まさか、こんな無力な女に惚れていたとはな。」
貴「…私を拐うつもりですか？」
朧「今はまだ、その時ではない。」
『今はまだ』拐わないらしい。…その言葉に腹が立った。凍った背筋を溶かすように怒りが沸いてきた。
貴「…仰る通り、私には貴方に対抗出来る力はありません。ですが…」
朧「…」
貴「ですが、もし貴方がもう一度、高杉さんを傷つけるつもりなら…私は決して貴方を許さない…！」
私は殴られる覚悟でそう言った。大切なクラスメイトを傷つけるなら私だって怒る。
朧「！」
心なしか、朧さんが一瞬怯んだ気がする。私は彼の手を振り払って急いで逃げた。

朧「…思ったより、『強い』女だ。」
朧はそういって、逃げる後町を見つめていた。
朧「後町桜…か。」
カア、カア。と、再び烏が鳴いた。

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