異なる二人のギャップ萌え ページ5
が、形から入ろうとも理解力が大幅に上がるわけでもない、
私と彼はしばらく無言で指導書の大して面白くもなく、勉強になるわけでもないページをぺらぺらと捲っていたが、そのうち私は漸く諦める気になって、本の表紙を閉じてしまった。
もう一冊読んでみれば変わるだろうか、と積んだ参考書の山に手を伸ばしてみようともしたが、
どれを読んでも結局は同じような気がして、伸ばした手をそのまま机の上に組んで置き、その上に頭を乗せて、ぼうっと図書室に響く紙の擦れる音を聞いていた。
ふと、好奇心とほんの少しの悪戯心から、隣に座ってまだ本を真剣に読んでいるらしい彼を見やった。
軽く伏せられた萩色の目はじっと文字の羅列を追っているようで、きょろきょろと忙しなく動き回り、無意識のうちなのか、微かに漏れる鼻歌はどれも音程を外すことはない。
絶対音感の彼故のそれなのか、それとも全て努力して身につけた物なのか。
どちらであったとて、彼が才能を持っていることに変わりはないが。
不意に、私の視線に気が付いたらしい。
萩色の目は私の姿を捉えて、柔らかく細められた。 随分と、愛らしい表情で笑うものだ。
「…んふ、なんや、もう飽きたん」
「うん、飽きちゃった。…これ読んでるよりも、実際にやってみたほうが身につく気がするなー私」
「へーへー、脳筋のAちゃんの為に練習付き合ってやりましょか」
「ふー！さっすがロボロ良い男ぉ！」
「調子ええなぁ、全く」
脳筋とまではいかなくとも、彼だって行動派の人間だ。
ロボロは呆れたようにため息を吐いて、本の表紙を閉じると、私が積み上げた本の山を抱えて、椅子から立ち上がった。
捲られたカーディガンの袖口から、男子らしい腕が覗いているのを眺め、よくこんな体を鍛えておいて、乙女の役を演じられる物だと感心する。
私だって特別男らしい体つきでもなければ、身長だってすごく高いわけではないが、
それでも主役を張れるのだから、人は努力次第と言えばそうなのやもしれない。
が、彼に至っては舞台の上と自然体の彼とでだいぶ差があるような気がする。
「なーA、今日ってレッスン室の予約取ってへんよな」
「取ってないよ。…どうしよっか、空いてるかな」
「ま、最悪教室でも構わへんしええんやけど」
台本は最終公演のでええかな、なんて続いた彼の声を聞きながら、私は女役の指導書を一冊だけ手に取った。
やっぱり、一冊くらいは借りていこう。
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ゆるぽろう - 了解でございます！！私生活が忙しいのですか、無理はなさらず頑張ってくださいませ…！ネル様が生存していた(？)ということが確認できたので本当に良かったです、例え不定期でも全裸待機します！！体調にはお気をつけて！！！ (2022年8月3日 20時) (
レス) @page42 id: 26d6d8e78e (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - ネルさんの作品、特にこのシリーズとっても好きなのでいつまでも更新待ってます！私生活も占ツクの更新も無理しないでくださいね！ (2022年7月30日 0時) (レス) @page42 id: 7aebf15c07 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるぽろう - 本当にお前おこがましすぎるし殴るぞと思われるかもしれませんが、他作品の更新もないので少しと言うかめちゃくちゃ心配でございます。もしも戻って来られましたら泣くので、ずっとここでペンラ振って全裸待機してます。長文失礼いたしました。好きです！！！ (2022年7月27日 22時) (レス) id: 98cc6c3041 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるぽろう - 前作や前々作を読み返したり、この作品も最初から見たりしてますが、やはり寂しいですな(何様じゃボケ)私生活がお忙しいようでしたら仕方ありませんし、私一読者がこんなことを言うのなんておこがましいですが、またネル様の物語を読みたいなと日々思っております。 (2022年7月27日 22時) (レス) @page40 id: 98cc6c3041 (このIDを非表示/違反報告)
ネル(プロフ) - ゆるぽろうさん» 把握ありがとうございます、、！！ 解釈不一致に日々呻いております、、笑 納得のいく作品になったら恐らく筆ものるはず、、。 …私も好きです笑 (2022年5月24日 16時) (レス) id: 3cff5be0f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ネル
| 作成日時：2022年5月17日 19時
