異なる二人の窮地のヒーロー ページ23
人の良さそうな店主の言葉に思わず反射的に頷き、柔らかく微笑めば、店主も転がしていた団子の串から手を離し、ひらひらと手を振って見送ってくれた。
言葉に倣って、折角の花見日和の下、私は此処らを流れている義須川の方面まで歩くことにした。
確かにあの透明___とは言い難いが、また古い歴史を感じさせる趣ある川の上に桜が組み合っている様は、おそらく美しいのだろう。
そこで三色団子の串を咥えるか、と彼ほどではなくとも案外得意な部類に入る鼻歌混じりに、緑道を歩いていれば、不意に背後から肩を叩かれた。
まさか知り合いであろうか、と振り返ってみたが、背後に立っているのは顔も知らぬ人物であった。
一瞬でも、人違いか、と思ってしまった自分を義須川に沈めてやりたい。
「こんにちは、お姉さん今一人ですか？」
「…え、あぁ……まぁ、」
「今から暇ですか？良かったら僕とお茶でもしません？」
「いえ、…その、もう帰るところです、から」
「えぇ……お姉さん、すっごい僕のタイプなんですよ……ね？ちょっとだけでいいですから！せめて三十…いや、十分でいいです！」
「…困ります、やめて下さい。…ほんとに、」
どことなく彼と雰囲気が似通った青年にストリートナンパを仕掛けられ、三色団子の入ったタッパーを抱えたまま、おどおどと私は否定の言葉を紡ぐしかなかった。
彼と同じようにカーディガンをあざとめに大きく羽織り、丸い目が私を捉えて離さないところなんか、本当によく似ている。
ふっと青年の表情の中に彼を垣間見た気がして、思わず何も言えなくなった。
存外、私は彼に弱いらしい。
捨てられる子犬のような視線を送る青年が、如何にも彼の姿と重なって、思わず頷いてしまいそうになった。
彼と目の前の青年とは違うというのにも関わらず、
私は何かに彼の幻想を見てまで、会いたいだなんて、まるで恋人みたいな率直な欲を抑えることができないようだった。
春の麗らかな日差しの下、伸ばされた手に自分の手を絡め取られ、蜘蛛の巣に罹った虫のような心地になりながら、緑道を引き摺られるようにして歩き出す。
刹那、
私のもう一方の手の平が大きな力によって引かれ、私は後ろに倒れ込むようにして、青年の手の先から脱出することに成功した。
唐突に肩を抱かれ、その救ってくれたらしい人物の胸板まで引き寄せられる。
誰だ、と思考が巡る前に、私は彼の小さく息を吸う音を聞いた。
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ゆるぽろう - 了解でございます！！私生活が忙しいのですか、無理はなさらず頑張ってくださいませ…！ネル様が生存していた(？)ということが確認できたので本当に良かったです、例え不定期でも全裸待機します！！体調にはお気をつけて！！！ (2022年8月3日 20時) (
レス) @page42 id: 26d6d8e78e (このIDを非表示/違反報告)
るな(プロフ) - ネルさんの作品、特にこのシリーズとっても好きなのでいつまでも更新待ってます！私生活も占ツクの更新も無理しないでくださいね！ (2022年7月30日 0時) (レス) @page42 id: 7aebf15c07 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるぽろう - 本当にお前おこがましすぎるし殴るぞと思われるかもしれませんが、他作品の更新もないので少しと言うかめちゃくちゃ心配でございます。もしも戻って来られましたら泣くので、ずっとここでペンラ振って全裸待機してます。長文失礼いたしました。好きです！！！ (2022年7月27日 22時) (レス) id: 98cc6c3041 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるぽろう - 前作や前々作を読み返したり、この作品も最初から見たりしてますが、やはり寂しいですな(何様じゃボケ)私生活がお忙しいようでしたら仕方ありませんし、私一読者がこんなことを言うのなんておこがましいですが、またネル様の物語を読みたいなと日々思っております。 (2022年7月27日 22時) (レス) @page40 id: 98cc6c3041 (このIDを非表示/違反報告)
ネル(プロフ) - ゆるぽろうさん» 把握ありがとうございます、、！！ 解釈不一致に日々呻いております、、笑 納得のいく作品になったら恐らく筆ものるはず、、。 …私も好きです笑 (2022年5月24日 16時) (レス) id: 3cff5be0f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ネル
| 作成日時：2022年5月17日 19時
