ほんとうは。【音駒】

きゅう ページ9

烏野vs音駒



一試合目では、音駒の勝ち。




　

あともう一試合で終わるだろうと思っていたが、その考えはどうやら浅はかであったようだ。




先程、再会を果たした奇抜なオレンジ頭の子が、唐突に大きな声で「もう一回！」なんて言うから結局、何試合もするはめになってしまった。









　


　






『夜久先輩、ドリンクどうぞ。』



「お、ありがとう深井」



『いえ、』





滝のように汗を流している夜久先輩たちに、お疲れ様です、とそっと小さく呟いてドリンクを配り歩いた。





全員にスポドリを渡し終えてから、マネージャーのよしみ？ で少しだけ仲良くなった潔子さんと、水道に一緒に向かう。

こんな美人な人と一緒にいるのは、なんだかすごく緊張してしまう。


横を見ると、それに反応してこちらを見つめ返す綺麗な瞳と顔に、思わず見とれて前に人が迫っていたことに気づかなかった。








　
『っ、すいませ…』



誰かとぶつかってしまった。

とっさに申し訳なさそうな顔を作る






顔を上げてぶつかった相手を仰ぎ見た。






瞬間、疲れきった怠惰な色を浮かべた目と目が合ってしまった





あ、


相手も私の顔をとらえた瞬間、ピクリと一瞬目元がひくついたように見えた。




　







ぶつかってしまった高身長のその人は、不機嫌そうな顔色をいっそう深くして、小さく頭を下げてから何処かへ行ってしまった。









　




「Aちゃん？」



『あ、すいませんいま行きます。』





　



あの時、あの瞬間の間は一体なんだったのか。

微妙な気分のまま、先をゆく清水先輩の後を追った

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