ほんとうは。【音駒】

さん ページ3

バレーは好き。
…とは言っても、体育の授業でしかしたこと無いけど。








　




『灰羽、スポドリ。』






「お、あざーっす！」


灰羽がドリンクを受け取ったのを尻目に、他の部員の人達にもドリンクを渡していく。



「いやー助かるな、一人でもマネージャーがいるとこんなに違うんだな。」


「だな。」



「山本は泣いて喜んでたし。」



『…その本人は、私を避けているような気がするんですが。』



先輩方の後ろ側、離れた所にいるその当人を見る。

人と話しているものの、此方を意識しているのか、時折視線を寄越してくる。






　
『話し掛けてはこないんですね。』


「彼奴は気にすんな。そういう奴だ。」





「…見た目に反してシャイだから。」



にやにや笑っている黒尾先輩の後ろからひょっこり出てきたのは、孤爪先輩だった。


たしか、観察眼に優れているとかなんとか。
よくまだ知らないけれど。



誰かにそう教えてもらった気がする、曖昧な記憶だが。



　



『孤爪先輩、お疲れ様です。スポドリどうぞ』


口角を緩く上げて、ドリンクを差し出した。
目の前に出されたそれを、一瞥して受け取る孤爪先輩は、





「…ありがと」


目があったと思えば、すぐに逸らされ壁側の方へ行ってしまった。

ぼーっとしていて、何を考えているのかいまいちよく分からない。




孤爪先輩は、どうやって接するべきなのかが分からないから、苦手だ。

悪い人とかでは無いんだろうけど。

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