三夜 ページ3
「……は」
「行くとこねえんだろ？女の子となれば、全員
歓迎するぜ。」
何を言っているのだろう、こいつは。私が何をしたか、今、教えてやったばかりだというのに。
「……ここ、あんたらの縄張りって聞いてたんだけ
ど。白髭は、私みたいなことしたやつは許さな
いって。」
縄張りの村を潰した私を、白髭が放っておくわけがない。てっきり、こいつは私の始末のために
来たのだと思ったのだが………
「……ん？何言ってやがる。ここはギリギリ縄張り
の外だ。
だいたい、ここには白髭の旗がねえだろう。」
そりゃあ、縄張りの中だったらそれなりの落とし前はつけるけどな。と、笑顔で言い切った。
怖いなこいつ………へらへらしてるだけじゃないってことか………
「この村、勝手にオヤジの名前を使ってたのか……
そりゃ、潰されて当然だわな。」
「……死ぬ覚悟でやってたのに。」
そう言うと、「滅多なこと言うんじゃねえ。」と、そいつは私の頭にポン、と手をおいた。
「うん……」
なにか懐かしい気がした………のだが、いったい
何が懐かしいのか分からない。こいつに会ったのは初めてのはずなのに。
なぜだろう。すごく安心する。
「あてが外れて良かったな。
で、どうする。うちに来るか？」
「あ…え、と……」
どうしよう、上手く声が出ない。早く。早く言わないと。私も、一緒に……
グキュゥゥゥ……
「…………っふ、」
「………わ、笑わないで……」
きっと、今の私の顔はリンゴのように赤くなっているに違いない。これが、恥ずかしいというやつか。
あの子が言っていたように、あまりいいものではないな………
ていうか鼻で笑ったな？
「腹、減ってるんじゃしょうがねえ。
港の方に俺たちの船があるんだ。うまい飯作っ
てやるから、それ食ったら答えを聞かせてく
れ。」
「……ありがとう」
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作者名：シヲリ | 作成日時：2019年6月19日 22時
