十四夜 ページ14
「______やだわあ、私自分の才能が怖い……」
「ナース長、元がいいんですよ」
き、着替えてきてもいいかな………
「あっ今着替えたいとか思ってたでしょう、駄目
よ可愛いんだから♡」
そう言い、ジャンティさんは私に眩しいウインクを飛ばした。嘘でも普通以下とは言えないその容姿では、並みの男はイチコロだろうな。
「で、でもやっぱり、さっきの服でいい……」
「諦め悪いわねえ……似合ってるんだから素直に
貰っときなさいな！さあ、男共に見せに行くわ
よ〜♡」
ジャンティさんは、強引に私の手を引いていっ
た。後ろを振り向けば、綺麗な御姉様方がニコニコと素敵な微笑みを浮かべている。
あ、この人たち話聞かないタイプだ………
「_____おいおい、うちのナースたちは可愛い妹
をどこに連れてったんだよ………」
「サッチ……四番隊隊長の名が聞いて呆れるなあ。
まさかお前にそんな趣味があったとはね……」
すぐ横で煙管を噴かしている和装の男に話しかけられる。俺とタメはる歳のくせに、見た目とかはまったくの大違いだ。
「イゾウさんよ……お前にまでそんなこと言われた
ら、さすがにへこむんだが」
「ハハッすまねえ。面白くてつい、な」
こいつのこういうSっ気あるとこ、苦手なんだよ
なあ………新しい妹に手ぇだしたりしないといいんだが。
「おい、さすがの俺もそこまで落ちぶれてねえ」
「お前……もしかしてエスパー？」
「全部声に出てんだよバカサッチ」
そりゃ良かった。こいつに心を読まれたりなんかしたら、それこそ最悪だろうからな。
「だから、声に出てるって………
お、どうやら戻ってきたらしいぜ」
イゾウは手に持っていた煙管を、開きかけの扉の方向に指していた。
扉の開く音なんて、宴の喧騒で聞こえなかっただろうに。さすが十六番隊隊長、見聞色はお得意
だったな。
「やっとか……さっさと隊長格にあいさつさせ……」
なぜだろうか、体がまったくといっていいほど
動かない。すぐ隣から、カランっと何かを落とす音が聞こえた。多分、イゾウが煙管を落とした音だろう。
俺たちの視線の先にいたもの。それは、俺たちの新しい妹、で、間違いないのだが………なんていうか………
「化けたな………お嬢」
茶色のショートヘアーはきれいに整えられ、その小さな体には、リボンのついた赤と白のワンピースが纏われていた。
子供としては可愛い、のだが、その場の誰もが思っただろうことがある。
(将来的に美人になるんだろうなあ……)
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作者名：シヲリ | 作成日時：2019年6月19日 22時
