十二夜 ページ12
「久しぶりに、派手にやっちまったなァ」
「………え」
船長室の外へ出て、最初に私が発した言葉は、そんな感じのまぬけな声だった。
「ったく……敵襲かと思って身構えちまったよい」
あーあーとパイナップル頭を掻きながらマルコ…
さんはぼやいていた。いや、この光景はそんな呑気に見つめられるものではないと思うのだけど。
「この調子じゃ、うちの隊のやつらも
オヤジの覇気にやられてんな………」
サッチはサッチで、「今日の晩飯どうしよ〜」とか言っている。
私が視線を走らせている先。そこには、大勢の男たちが仰向けになって倒れていた。見ている限りだと、外傷は全くないように思える。
___________オヤジの覇気にやられて
「白髭さんって………すごいんだね………」
その、「すごい」には、多分いろんな意味があったと思う。
「覇王色持ちならこんなん誰でもできる。
……オメエがなかなかに持ちこたえやがるから
止めどきを見失っちまってなあ。
息子たちには悪ィことしちまった……」
「覇気の免疫力に関しては隊長クラスってことか
よい。こいつ」
あれ、人に指を指しちゃいけないっておそわったんだけどな………あれ？
「さっすが、俺たちの妹だなあ」
「え」
その言葉に、マルコさんがバッとこちらを振り向いた。
「ちょ、ちょっとサッチ。まだ、白髭さんに答え
もらってない……」
「アホか」
白髭さんにそう制されて、私は口を閉じた。体中を、またさっきのようなビリビリとした感覚が通り抜ける。多分それは、一瞬の出来事だった。
「うおあ！！なんだなんだ！！？」
「え、なんで俺床で寝て……」
先ほどまで気を失っていた男たちが、ビリビリが通り抜けた瞬間、急に飛び起きたのだ。これもきっと、白髭さんの覇気なんだと思う。
寝ていた人も飛び起きるって、聞いたことがあ
る。
「ｽｩ……野郎共ォォオ！！！」
白髭さんが大声で召集をかける。すると、船内から続々と、屈強そうな男たちが顔を出した。中には他の人とは違う、オーラのようなものを放っている人もいて、その人たちが隊長なのかなと思った。
「し、白髭さ」
「オヤジ。俺のことはそう呼べ」
「……！……お、オヤジ！」
「よし、それでいい」
白髭さん……オヤジは、もう一度息を大きく吸い
こみ、甲板にいる全員に向かってこう言った。
「こいつァ、今日から俺の娘だァ！！！
野郎共ォ！！宴だあああ！！！」
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作者名：シヲリ | 作成日時：2019年6月19日 22時
