六夜 ページ6
「てめえ、覚悟はできてんだろうな………」
いつもよりも更に不機嫌な顔で凄むマルコ隊
長。どうやら原因はサッチ隊長のようだった。
「待て待て。なんでそんな怒ってんだよ。俺なん
かしたか？」
「とぼけんじゃねえよい……ネタは上がってんだ。
まさか、あんなことするやつだとは思わなかっ
たよい……！！」
気のせいか……？マルコ隊長、いつもよりも怒っている気がするが………ていうかサッチ隊長はいったい何をやらかしたんだ………
とりあえず、止めないと。
「ま……まあまあ、マルコ隊長。落ち着いて。
何があったのか教えて頂けませんか。」
「あ"あ"ん？何をしただあ？そんなのこいつを絞
りあげた後に聞けよい。」
駄目だ……話を聞いてもらえない。こんなに怒ってるマルコ隊長は初めてだ。ど、どうすれば………
ていうか、これ以上話しかけようものなら、殺されてしまう気が………
「おいおい、マルコ隊長ォ！話ぐらい聞いてやれ
よ！そいつ困ってるじゃねェか！！」
わたわたしている俺を助けるかのように、その
声は聞こえてきた。さっきからこの騒ぎを眺めていた………
「ティーチさん……！」
この白髭海賊団の古株、ティーチさんだった。
「ゼハハハ！！俺ァ頭が悪ィから今の状況が全く
分からねェ！！
説明してくれよ、マルコ隊長ォ！！」
少し睨み合った後、マルコ隊長は口を開いた。
俺のときは全く聞き入れなかったのに……！？
「……チッ………じゃあ、単刀直入に聞くよい。
サッチ。てめえの部屋にいた子供はなんだ。
しかも女。」
「「……………は、子供？」」
しかも女……？よ、幼女！？
「あー、マルコ会ったのかあ。なんとなく、なん
で怒られてるのか分かったぜ。」
予想外の単語に、俺だけではなくティーチさん
も眉をひそめる。
そんな俺たちを気にする様子もなく、サッチ隊長はケロリとした態度で受け答えしていた。
「サッチ隊長ォ……まさか誘拐」
「違えよ。俺ァ、そんなことするほど落ちぶれて
ねえ。」
「誘拐じゃない………とすると、まさか………」
答えは限られてくるぞ………サッチ隊長のことだ
から………！！
「「隠し子！？」」
「だから違えって！！」
「じゃあ、あのガキはいったい何なんだよい！」
「いいか！？あいつはなぁ！！」
ガチャリッ
サッチ隊長がそこまで言いかけたその時、厨房の扉が開く音が響いた。俺たちの視線は一気にそこに集まる。
「えっと……お取り込み中だった……？」
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作者名：シヲリ | 作成日時：2019年6月19日 22時
