二十四夜 ページ24
「ちょちょちょっ、そんなジトッとした目で見な
いでよお！神様嘘言ってないから！」
いけない。うっかり感情を表に出していたようだ。こういう悪い冗談を言う奴はもっと威嚇しとかないと。
「……あの子は死んだんだよ。
動かなくなって、燃やされて………
もう会おうとしても、会えやしないんだから」
あの子を動かなくさせたのはあの村の連中。そいつらにそんなことをさせる原因を作ったのは私だ。
「私のせいであの子は死んだの。
もし、会うことが可能だとしても、合わせる顔
がないんだよ」
人間は死んだらそこで終わり。それこそ本当に、神様じゃないと会わせるなんてことできない。
「だーかーら！神様だって言ってるでしょーが」
「うるさい、お前なんか神じゃない」
「ええ……」
あの子を死なせたのは私じゃない。でも、あの子が死んだのは少なくとも、私があの子に関わってしまったから。
だから……
「………ボクを神様だと信じないことで、会わ
ないままでいるつもりなの？」
「……そうだよ」
本当は分かってる。この人は本物で、本当に神
なんだってことくらい。本当に、私をあの子と会わせることができる。
それでもだ。
「何も、返してあげられなかったんだよ……
今さら会って何しろっていうの」
あの子がいるときは楽しかった。嬉しかった。
だから私は、自分への罰として、一生あの子のいない毎日を生きていく。そう決めたんだ。
「……もうすぐ夜が明けそう。船に戻らないと」
踵を返し、洞窟の外に出る。神は、私が歩いていくのをただただ静かに見つめていた。
外には、猛獣がお座りの状態で待ってくれていた。未だに怖がられているのはさすがに傷ついたが、もうこれっきりなのだからと諦め、背中に飛び乗ろうとした。
ふと、思い出す。
「……そういえば、頼み事ってなんだったんだろう
？」
"あの子に会わないか？"はただの質問だ。神は頼み事があって、と私に会いにきたのだ。
少し気が引けるが……
「……戻ろう」
「____あれ、戻ってきたの」
神は、相変わらずそこに立っていた。そばには大きな穴のようなものが出現しており、多分そこから帰るつもりだったのだろうと思った。
「頼み事、聞いてなかったと思って」
「……ああ、いいよ、もう君はしなくてもいいこと
だから」
しなくてもいいこと？
「……彼女を、君が言ってるあの子を、
助けてほしかったんだ」
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作者名：シヲリ | 作成日時：2019年6月19日 22時
