二十二夜 ページ22
宴が終わり、男たちは甲板で大の字になり眠っていた。まだ起きているとすれば、見張りぐらいだろう。
「……よし、見つかってないな……」
その見張りの目を盗み、私はこっそり船から抜け出した。誰にも気づかれていないのを確認し、森の中へと足を踏み入れる。
途中、大きな猛獣と鉢合わせたりしたけど、昼間に私たちがしたことを理解していたのか、私の姿を目で捉えたとたんに逃げ出してしまった。
「ちょ、ちょっと待って………」
その声に反応するように、猛獣はビクッと反応し、こちらをゆっくりと振り返った。ああいう動物って、表情筋はないって聞いたことあるけど……間違いない、すごく怖がっている。
でも、話は聞いてくれそう。
「……あのね、ここらへんに…洞窟とかある？」
確かめたいことがあるんだ。
「____ありがとう」
「ヴァゥ……」
随分と奥の方に来てしまったけど、ちゃんと来た道を帰れるだろうか。………猛獣くんがいるから大丈夫だろう。
目の前にある洞窟は、結構深くまで続いていそうだった。奥からは水の音が聞こえてくる。
サッチの言っていた真水が湧き出るは、ここだったりするのだろうか。まあ、そんなことはどうでもいい。
洞窟に入ると、この島に来てすぐに拾った、おそらく銀製の首輪を両手で持ち、自分の顔の前に持ってきた。
「その……首輪さん……？そろそろでてきても……？」
『………………』
_____どうやら動く気はないらしい。仕方がないな、奥に放り投げてこの洞窟埋めてしまおう。
『わぁぁ！！やめてやめて！出る！出るから！』
けたたましく首輪は手の中で動き回り、助けを求める声を発しだした。最初っからそうすれば良かったものを………
パァッと光だしたと思えば、瞬きをした次の瞬間、そこには真っ白で、後光が差しているような美少年が立っていた。
「焦ったなぁ、もう。簡単に捨てようとしないで
よ。びっくりしたじゃん」
そう、美少年が…………
____誰だ、この人……？
「あっ、今"誰だ？"って思ったでしょ！
ひどいなあ、さっきまでキミが握りしめてた首
輪くんだよ〜！忘れちゃった？」
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作者名：シヲリ | 作成日時：2019年6月19日 22時
