二十夜 ページ20
「な……なんだこれは………」
目の前に作り出された光景に唖然とする。偵察として出ていた二人から異常なしの報告があったから、この島に上陸したのだが………
「グラララ……優秀すぎる末っ子だなァ」
「オヤジ……これ、サッチとチェンがやったって言
うのか！？」
「そういうことになるだろうなァ」
「そ、そうか……」
俺は、すぐそこに倒れている物体に手を置いた。………いや、当てたと言った方が正しいだろうな。
_______だってそれ、超巨大なクマだったし。
多分九メートルいかないくらいの。
「信じられねえ……完全に仕留めてある」
もうシメてあるし……
「どうやら、俺たちのために飯の用意をしている
らしい……野郎共ォ、手伝ってやれェ！！」
ウオオオオオッと雄叫びが上がる。
未だに少し戸惑っている俺に、オヤジは落ち着いた声色で話しかけてきた。
「イゾウ、オメエも行ってこい。あいつらの指揮
を頼んだ」
どうして、オヤジたちはそんなに冷静でいられるのだろうか。こんなやつが来たら普通………
_______いや、まてよ。忘れてた……俺たちは海賊だ。ついでにここはグランドライン。問題児や変人がいりゃあ、巨大なパワーを持った女の子がいてもおかしくない。
ましてや、彼女は妖怪なのだ。逆に、これが普通なのではないのか？
「どうしたァ、考え込んで……」
「……いや、なんでもねえ。行ってくる、オヤジ」
少しの間とはいえ、何、つまらないことで頭を悩ませていたのだろうか。どんなやつであろうと
も、俺たちの妹であることには変わらないというのに。
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作者名：シヲリ | 作成日時：2019年6月19日 22時
