十七夜 ページ17
隊長たちの紹介が終わった後は、適当に船員に挨拶して周った。そして翌日、私は白髭のオヤジと盃を交わし、正式な娘として認められることになった。
「___いやあ、びっくりしたぜ……
お前、子供じゃなかったんだなあ………」
「まあ……うん、年齢的にはね」
儀式が終了し、船員たちが船の中に戻っていく中、私とサッチは船の手すりに寄りかかって話し込んでいた。
一応、私は子供じゃない。ただ見た目が幼女なだけで、二十歳は過ぎていたと思う。妖怪は人間よりはるかに寿命が長いため、おそらく成長も遅いのだろう。
「ほら、子供に酒飲ましたら健康損ねるって言う
じゃねえか」
「海賊らしからぬ発言だね……酒飲んでる子供なん
て山ほどいるだろうに」
「ばーか、可愛い末っ子が不健康になってみろ？
ナースたちが黙っちゃいねえぞ」
聞く限りだと、やはりあの御姉様方にはこの屈強な男も敵わないようで、最後の方にいくに連れて顔を青白くさせていた。
「あっそういやあ、お前、見た感じ猫っぽいけど
………ミンク族、じゃねえよな。あいつらもっと
毛深いし」
「俺も、それは気になるなぁ」
後ろを振り向くと、そこには和服美人……イゾウが立っていた。今日も昨日と同じ煙管を右手に持っており、にこにことこちらに近づいてくる。
「お嬢、もしかして………"妖怪"ってやつじゃねえ
か？」
「！」
「ようかい………？………ああ、そういや、お前の部屋
にそういう本が置いてあったような……」
なんでその言葉を知っているんだろう。一部の国の人間しか知らないって聞いたんだけど………
_______あれ、誰に聞いたんだっけ。
「俺はワの国の出自だからな。そこら辺の知識は
誰にも負けねえ。
その反応だと当たりみたいだな」
「………すごいね、イゾウ。ワの国か………うーん」
ワの国。その単語には聞き覚えがある……気がする。何か思い出せそうなんだけど………何を思い出そうとしているんだろう。分からない。
まあ、いいか。大事なことだったらまた思い出すでしょ。
「そういや紹介の時、出身分かんねえって言って
たよな………
もしかして、ワの国だったりして？」
「まあ、妖怪の話はワの国の発祥だし、可能性は
あると思うぜ」
「イゾウさんと同じ国の出身ねえ………
う〜〜ん……分からん」
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作者名：シヲリ | 作成日時：2019年6月19日 22時
