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夢主side

フロイドを探そうと昼休みで人がごった返す廊下を歩いていると、後ろが何やら騒がしく何やら鈍い音が聞こえる。フロイドを探すことへ支障をきたすようなら確認しておこうと、振り返る。
するとどうだろう、探していたフロイドがそこにいるではないか。大勢の群衆に囲まれて。

「なんだ?」
「喧嘩ふっかけられたらしいぜ」
「どっちが?」
「あれどこの寮?」
「オクタヴィネルだよ、あそこ接点あったか?」
「うわ、リーチ不利じゃん」
「体躯が違ぇからキツくね?」

騒がしかったのは中庭周辺にたむろしている生徒達で、輪の中心にはフロイドと誰かは知らないがフロイドよりも少し身長があり、横に大きい生徒、周りの生徒が話しているのを聞く限りその生徒はサバナクローの4年生らしい。

「るっせぇな、邪魔だっつってんだよ」
「あ?俺様にぶつかって来といてなんだよその口の聞き方は!」
「は?知らねぇーし、いいからさっさと退けよ」

ある程度殴り合ったのか互いに血塗れ、しかしフロイドの方が出血量が多く劣勢に見える。フロイドの言いぶりからすると喧嘩をふっかけたのはサバナクローの生徒。

自身の恋人がいたぶられているのを見るのは流石に心が痛む。しかし止めに入る程馬鹿ではない、この状況で止めに入れば女である自分が無事で居られるはずがなく、なによりフロイドの男としてのプライドがズダボロになると思う。女の子に庇われるだなんて死んでもごめんだと言いそうなものである。
なぜ見るのかと言えば気になるのである、趣味なので。

人混みの隙間を縫うように進み、最前列に顔を出す。すると遠くから見ていた光景と比べると圧倒的に迫力が違い、ぶわっとした熱気が鼻先から顔全体に吹き掛けるように伝わってくる。

「あ"ーー!っせぇな!オレ急いでんの!!」
「んだよノリわりーな」
「どーせ急ぎじゃねぇーだろ」
「俺もうサバナにかけちまったよ」
「俺もーー!はよ続き!!」

何やら既に2人の喧嘩を賭け事にして遊び出しているらしい、流石ヴィランと言ったところか。同情している人間は見当たらず囃し立てる者だけ、お互いが誰なのかも認識していない仲であろう生徒が、まるで親友の様に話し込んでいる姿を見るとこうして仲良くなるのがナイトイレブンカレッジの文化らしい。

「っねぇな…秒で締める」
「そう来なくちゃなぁ!」

互いに睨みつけあった2人をヴィランの男達が歓声と熱気で包んだ。

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作者名:病み病みスリッパ | 作成日時:2020年6月25日 18時

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