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夢主side
寮に戻りいつも通り夕飯を食べて、お風呂に入って、課題をやって、グリムを寝かしつけて自分も寝ようとしていたとき、オンボロ寮の申し訳程度の呼び鈴が鳴った。寝巻きのままで申し訳ないがこんな時間に来る方も来る方だろうと思い、急いで扉に向かう。
「どちら様?」
「小エビちゃん、こんばんわぁフロイドだよ」
あぁ先輩かそう思ってドアノブに手を掛けようとした。
いやまて、誰だ。
先輩達は暫くは大丈夫だと言っていたがその裏をついて、ウッズが仕掛けてきたのでは?どうする、どうにか確認する術はないか。
いや、確認する必要があるか?仮にウッズだと分かった瞬間何をされるか分からない、無闇に探る行為は悪手である。どうにかして帰すしかない。
「こんな時間にどうしたんですか?」
「小エビちゃん、1人じゃ不安だと思ってさ大丈夫?」
「はい、大丈夫ですよ?グリムもいますし」
「そ?でもさグリムくんだけじゃ不安じゃない?」
あ、フロイド先輩じゃない。
意図せず確認できちゃった(泣)
フロイド先輩はグリムの事をアザラシちゃんと呼ぶはず、ウッズの場合フロイド先輩のあだ名は私に対してのものしか聞いていないから、グリムのことはそのまま呼ぶしかない。
どうしよう、本格的にどうしよう。
えぇい!こうなったら嘘を使おう、出来るだけ確認しようのない嘘を
「すみません先輩…親の教えで危ないから夜に人を家に上げるなって言われてて…ごめんなさい」
「…そっかじゃあ気をつけてね」
「はい、おやすみなさい」
足音が段々遠ざかるのを聞きながら扉に寄りかかり安堵した。
ひとまず助かった…
「次はないよ。Aさん」
「ひっ」
バレていた。耳元はっきり聞こえたそれは、恐らく魔法でも使ったのだろうけど恐怖を煽るには十分すぎて、その日は一晩中髪の毛がざわめいていて全く眠れなかった。
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作者名:病み病みスリッパ | 作成日時:2020年6月25日 18時