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ダイキライ ページ2

沙耶香までこいつに騙されている、


と私は不愉快になったけれど


そんな気持ちはかけらも表情に出さず


私は「ほんと、それ」と笑ってみせた。


「あ?なに、俺の話してんの?」


ふいに左から声がした。


こちらに向けられたその声を聞いただけで


心臓がばくばくと早鐘を打ちはじめる


私はマスクの中でひっそりと深呼吸をして、


それからゆっくりと振り向いた。


もちろん、笑顔を貼り付けたまま


でも、とっさに言葉をだすことがてきなくて


かたまってしまう。


「あっ、聞こえちゃったー?」


と沙耶香が笑いを含んだ声で言うと、


玲於が


「聞こえるわ、バーカ」


と返した


私もなにか言わなきゃ


じゃないと、変に思われる


焦りが気持ちを急かし、


反射的に口を開く


「.....玲於が隣だと、うるさくなりそうだね、って言ってたの」


なんとか声をたしたけれど


不自然な言い方に聞こえていないか不安だった


沙耶香を見ていた玲於の視線がすっと


流れて切れ長の瞳が私をみる


真っ直ぐに目があった。


なんの感情も感じれない、静かな瞳


硝子玉みたいな透明な瞳


それなのに、不思議と


責められているような気がしてしまう


居心地の悪さに、笑みを形づくっていた


口もとが歪むのを自覚する。


マスクをしていて良かったと心底思った


思わず逃げるように視線をそらすと


「うるせえ」


と不機嫌さを隠さない冷たい声が


聞こえてきた


「俺だってAの横なんか嫌だっつうの。
視界に入ってくると不愉快だ」


しん、と空気が凍った


玲於の言葉は遠慮のかけらもない声量で


吐かれたから新しい席にはしゃいでいる


教室の中でもはっきりと聞き取れた。


ほとんどの人にはその内容まで


確実に聞こえているはずだ

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設定タグ:佐野玲於 , generations , 白濱亜嵐   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:773 | 作成日時:2018年9月22日 2時

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