だいきらい ページ1
高校2年になって3回目の席がえ
くじ引きが終わって、少しワクワクしながら新しい席に移動したのも束の間。
だるそうに隣の席に腰を下ろした男子を視界の端で
確認した私は、心の中で
「げ、最悪」
と顔をしかめた。
本当に最悪だ。ついてない。
まさかこいつが隣になるなんて。
私はげんなりしながら右手でマスクをつかんで引き上げた。
それでもそいつは、私の絶望など知るはずもなく
いつもの飄々とした表情で窓の外を見ている
「おっ、後ろ玲於か」
彼の前の席になった男子が
振り向いて嬉しそうに言うのが聞こえた。
こんな最低人間なんかと近い席になって
なにが嬉しいんだか、
と私は肩をすくめる。
「おー、よろしくな亜嵐」
にやにやしながら答えた彼の名前は
佐野玲於。
私が世界でいちばん嫌いな男だ。
これからしばらくこいつの顔を
見たり聞いたりしながら
学校生活を送らなきゃいけないなんて
考えただけで気が重い。
自然とため息が出そうになるのを、
私は必死に堪えた。
これからの日々に重いを馳せて
暗い気分になっていると、
玲於とは反対側の右隣に人が立つ気配を感じた
「わあ、Aの近くだ。嬉しいな」
人懐っこい笑顔で私に声をかけたのは
沙耶香だ。
私はマスクの紐をいじりながら笑顔を浮かべ、
「ね、嬉しい。よろしくね」
と答えた。
マスクの中で自分の声がくぐもって消えていく
「あ、Aの隣、玲於なんだ。うるさくなりそうだね」
私の左側に玲於の席があることに気づいた沙耶香が
そう声をあげた。
うるさくなりそう、
なんて言いながらも
どこか嬉しそうな声の色は隠せてない、
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作者名:773 | 作成日時:2018年9月22日 2時