六話ですね ページ8
そして、遂に六番との対戦。
場所は廃工場。
｢半分野郎、てめぇ覚悟してろよ。｣
｢……わかった｣
｢てことは俺は夜月さんか……まだ未知数なんだよなあ……｣
｢……ふぁいと｣
確かに私はまだまだ未知数だろうし第一格好が明らかに戦闘用ではない。
フリルをあしらったグレーのお嬢様のようなワンピースに下は黒のパンプス。
戦いづらいことこの上ないだろう。
｢それでは、第三戦開始！｣
｢死ねやごらぁ！｣
開始直後すぐさま轟君に駆けていった爆豪君。
それに応戦する轟君。実に良い戦いになりそうだ。
｢……女の子に手を上げるのは抵抗があるけど、ごめん、夜月さん！｣
こちらに尾白君が向かってくる。
｢……のどかわいた｣
｢……えっ！？｣
私は向かってきた尾白君の手首を掴んだ。
掴んだ手首からギリギリと音がする。
尾白君は必死に抵抗するが手首を固定されているので得意の尾も使うことができない。
そんな尾白君に私は……
｢……いただきまー｣
｢えっ、あ、うぐっ！｣
勢いそこそこに首筋に噛み付いた。
首筋から垂れる血に私は少し嫌気を覚えた。
あと、5、4、3、2、1。
尾白君は気を失ってしまったようだった。
｢……けぷっ｣
やっぱり血は鉄臭くて嫌い。けど無くては生きていけない。不思議だ。
ちょうど向こうでは白熱した戦いを繰り広げていた。
助けに入ったほうがいいかな？
｢手を出すな、根暗女！｣
ですよね、うん、知ってた。
五分経過……
私は疲れて近くの瓦礫に腰をかけた。
まだ戦闘は続いている。いい加減終わらせて欲しいものだ、と思うので少し手助けをする。
体からコウモリが湧き出てくる。
そして、出てきたコウモリが轟君を覆う。
その隙に爆豪君が間合いを詰めて一気に爆発させる。
｢そこまで！ 勝者は爆豪少年と夜月少女のチームだ！｣
終わったあ、うんうん良かっ……
｢手を出すなって言っただろうが根暗女！｣
爆豪君が爆発を起こしながら追いかけて来た。
同じチームだよね？ あれ、可笑しいなあ……
とりあえず
｢……ばいばい｣
飛んで逃げます。
｢待てや、根暗女！｣
待たない死にたくない。
こうして私は本日のMVPに選ばれたにも関わらずその事を知らずに一日を終えるのでした。
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作者名：nekomoka | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kensyou/
作成日時：2018年5月12日 20時
