一話ですね ページ3
＿＿＿＿私にとって苦手なはずの朝が来た。
｢A！ ぼーっとしてないで早く学校行きなさい！｣
｢……うー。｣
｢ほら、日傘持って！ 遅刻するでしょ！｣
｢……うー。｣
｢……憧れの人、会いに行くんでしょ。｣
｢……行ってきまー。｣
｢……うん、行ってらっしゃい。 どんな事が合っても頑張るんだよ。｣
｢……うい。｣
私は個性の関係上朝が苦手だ。
きちんと喋ろうと思っても生半可な返事になってしまう。
動きたくても動けない。
だが、それでも彼の事になると動いてしまう。
それくらい、会いたいのだろう。
｢……朝、辛い。｣
歩いていると、思わず声が出てしまった。
ちなみに私の家は雄英高校から徒歩五分くらいだ。しかし、朝は特に苦手なので十分はかかってしまう。
そして、例のごとく十分かけて雄英高校にようやく到着た。
朝、中学まで車だったからキツい。
｢……大丈夫か？｣
｢……うい。｣
｢顔色悪いけど……｣
｢……いつも。｣
｢教室まで連れていこうか？｣
正直このままだと教室に着く前に倒れかねない。
知らない子だけどやむを得ない、か。
｢……おねがー。｣
｢おうっ。任せてくれ！
俺は切島鋭児郎！ さっき確認したら一年A組だった。そっちは？｣
｢……夜月A。一年。クラスまだ。｣
｢同じ一年か！ ちょっと待ってな？ おんぶで良いか？｣
｢……うー。｣
切島君におぶってもらいました。少し情けないですが少しずつ光に慣れるようにしましょう。
｢クラス表の前に来たぞ！ えーと、夜月は……おっ、同じクラスだ！ よろしくな、夜月！｣
｢……よろー。｣
自分でもちらっと確認した。
すると彼がいた。 同じクラスにいた。
胸が少し高鳴る。
しかし、個性の力には勝てない。
朝は力を温存しておくべきなのに喋りすぎた。
｢……おやー。｣
｢ん？ あっ、おい！ 夜月！？ 寝るなー！｣
ごめんなさい、無理です。おやすみなさい。
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作者名：nekomoka | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kensyou/
作成日時：2018年5月12日 20時
