十三話ですね ページ15
｢爆豪君、ありがとう｣
｢ちゃんと喋れんじゃねえか｣
｢あれ、お礼にはスルー？｣
｢礼を言われるようなことはしてねえ｣
｢でも、ありがとう｣
すると、爆豪君はいきなり
｢おら、行くぞ！｣
と、言ってきた。
｢……何処に？｣
主語が抜けていてどういうことか分からない。
不思議に思っていると切島君が説明してくれた。
｢よ、ようするに家まで送ってく、だと思う、ぞ？｣
きちんと話せる私に慣れていないのか戸惑いながら話している。
何だか少し面白い。
｢……じゃあ、お言葉に甘えて｣
｢ふんっ！｣
｢いやあ、やっぱり素直じゃねえな｣
｢テープ引きちぎってやろうか？｣
｢マジで止めろよ！｣
冗談を言いつつ帰るみんな。
私は思わず笑ってしまった。
｢ふふっ、みんななんか変なの｣
｢よ、夜月が笑った……｣
｢失礼だなあ、夜は普通に出来るんだよ？｣
｢夜月ちゃんかあわいい！ あ、連絡先交換しようぜ！｣
｢いいよ｣
｢あ、じゃあ俺も！｣
｢俺もー！｣
連絡先を教えてくれるみんな。
なんか少しくすぐったい感じがする。
｢はい｣
｢……あ？｣
｢連絡先、ほら｣
｢いらねえ｣
どうやっても教えてくれなさそうなのでまあ今回は諦めますか。
でもクラスメイトの連絡先、聞けて嬉しいな。
過去との決別、みたいなものも出来たし。
なんか爆豪君が昔の轟君みたいだと思った。
私のヒーローみたいだと。
｢……爆豪君、あの時、話してくれた時、とても嬉しかった。あと、カッコよかった｣
｢んなっ！｣
｢あれれ？ 照れちゃった？｣
｢うるせえ、二面女！｣
｢あだ名チェンジか！ いいね、面白い｣
｢おもしろがんな！｣
なんか爆豪君キレてるけど面白いからいいや。
……今日は少し幸せかもしれないなあ。
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作者名：nekomoka | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kensyou/
作成日時：2018年5月12日 20時
