2人だけの仮装パーティー/sn ページ9
｢Trick or Treat｣
やけに発音のいい英語で開けた扉から顔を覗かせたのは私の彼氏のしんぺい神だった
私の家に来るだけにも関わらずご丁寧に傷メイクまでしてある
｢お菓子くれなきゃイタズラするぞ｣
『いらっしゃいませ』
肩を竦めて薄く微笑んだ彼を扉を開いて招き入れる
私よりずっと大きな彼は靴を揃えてから部屋に上がってくる
｢寒かったわぁ...｣
『そりゃもう明日から11月だしね』
仕事終わりにきた様で仕事着を脱いで上着かけにかけた
リビングに通すといつもの定位置、ソファーへと腰を下ろす
『その傷メイクどうしたの？アイシャドウとか持ってたの？』
｢んなわけないやろ。彼女の家行くって言ったらしてくれた｣
じっくりと見てもそれは本物の様に見えるほど上手で思わず写真を撮りたくなる
｢写真やったら一緒に撮ろうや｣
『え？でも私何も仮装してないし...』
｢実はな、持ってきてん｣
ニッコリと笑うその顔はいつか昔も見た
確かあの時は酷く悪いことを考えていたっけ
『......』
｢似合っとるやん、可愛ええよ｣
手渡されたのは魔女の服と帽子だった
半強制的に着させられて思わず下を向く
私が着替えてる間にしんぺいさんは血のついた白衣を身にまとっていた
『しんぺいさん、は、なんか不気味』
｢え？ほんまぁ？｣
そう言って格好を見渡す彼が何だかおかしくて笑ってしまった
｢ふふ、一緒に写真撮ろっか｣
穏やかに笑うお医者さん
頷けばスマホ片手に中腰になってくれる
『身長高すぎるよ』
｢Aが小さいだけやろ｣
『何も言い返せない』
｢渋谷とか言ったら踏み潰されそうやな｣
『流石にそんな小さくないもん』
淡々とした、けれども慣れたその会話
｢あ、そうやA。俺まだお菓子もらってないんやけど｣
『その歳になっても欲しいの？』
｢イタズラするで｣
しょうがないな、私の彼氏は
前に作ってあったクッキーを手渡せば嬉しそうに笑う
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 175人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Yuki.aruru(プロフ) - 国民さん» 思った。尚,とっくにハロウィンは過ぎている模様 (2018年12月28日 15時) (
レス) id: 6057cb562d (このIDを非表示/違反報告)
国民 - え？アレスさんの作品神すぎん？ (2018年12月7日 0時) (レス) id: a87cc0cd9f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
