白熱灯の下で/ht ページ7
ハロウィンとは。
西洋から伝わった除霊の一種であり、魔除けの為に仮装したりジャック・オー・ランタンを作ったりするものである。お菓子の交換というのは子供向けとかで。(諸説有り)
そんな話どうでもいい。
よく使う検索ページの背景は紫色に彩色されていて、カボチャとコウモリのモチーフがにやりと笑った顔で映し出されている。
「……はあ」
ため息。
俺はページを閉じて、新着メールの確認に勤しむ。
「新しいメッセージ……うん……この間渡したUSBに追加記録……」
「ひとらんさん、今いいかな」
「ええ、大丈夫です」
良くねえよばーか。こっちはこっちで忙しいんだよ。
そう思いながら、手を止めて上司の方へ体を向ける。
「一時にお客様がいらっしゃるんだけど、お茶淹れて貰えないかな。お茶菓子は給湯室にあるから。あ、湯のみで緑茶をお願い」
茶菓子か。確かマドレーヌしかなかった気がする。経費で何か買っておこう。
「分かりました。お客様がお見えになったら淹れますね」
「助かるよ。ありがとうね」
俺はバレないように、また一つため息をついた。
今日はハロウィン。そんなもの俺には関係ない。アイアムジャパニーズ社畜。季節がいつの間にか一つ変わっているから、好きなイベントは勤労感謝の日と正月だけ。
先輩が雰囲気だけでも、とタイムカードを切る場所にカボチャの風船を設置していた。今は萎んで原型を留めてない。可哀想に。
トリックオアトリート？俺にとっては仕事オア仕事だね。帰りたい。ああでも帰るころには街は祭り騒ぎの真っ最中だ。
「……かぼちゃの煮物食いたい……」
仮装なんかしたくない。ましてや街を歩き回るなんてこの歳とこの疲労感では無理。
去年は何してたっけ。確か上司から全員に龍角散のど飴を二つずつ配布された気がする。
物思いにふけていると、また声をかけられる。
「ひとらん君、今日中でいいからこのファイル、隣の事務所の受付さんに渡しておいてもらえる？」
「あ、はい。分かりました」
俺はイエスマン。大丈夫。大和魂。俺はこれまでに何度も上司を殺してきた。心の中で。
心の中の上司にアッパーを決め込みながら、ディスプレイに向き直る。なんだっけ、USBにデータを追加だっけ。その間コピー機で印刷して、そうだ、確か明日までに返さなきゃいけないメールもあった。
俺は目の前の仕事をこなすべく、ハロウィンとかいう摩訶不思議なイベントを頭から叩き出した。
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Yuki.aruru(プロフ) - 国民さん» 思った。尚,とっくにハロウィンは過ぎている模様 (2018年12月28日 15時) (
レス) id: 6057cb562d (このIDを非表示/違反報告)
国民 - え？アレスさんの作品神すぎん？ (2018年12月7日 0時) (レス) id: a87cc0cd9f (このIDを非表示/違反報告)
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