恒常には仄かな厚情を/kn ページ16
仕事の帰りに寄ったスーパー。併設された百均をちらりと見れば、オレンジと黒の飾り付けがされていた。顔の描かれたかぼちゃに、もうそんな時期かと考える。
きっと彼は、こんなイベントに微塵も興味も示さないのだろう。真っ先に彼の事を思い浮かべる位には、彼の存在は私の中で大きいらしい。
「ただいま」
「おかえり〜」
彼の待つマンションに向かいガチャリと扉を開けば、気の抜けた声に疲れた心がほんのりと温まる。靴を脱いでリビングに入ると、ゆったりとソファに腰掛けスマホを弄っている彼がいた。
「ご飯、作るね」
「ありがと」
実を言うと、私は料理が大の苦手だ。練習に練習を重ね、一応食べ物になるようになったレベル。とは言うものの、自信なんてものはなくて毎回作る時には妙に力が入ってしまう。
「あぁ、またそんな顔しとる！」
ぐしゃぐしゃと雑に頭を撫でる大きな手。顔を上げれば、困ったように笑うシッマ。
「ええねん、そんなん気にせんで。俺はAの炊くご飯めっちゃ好きやし」
「…それ料理じゃない」
大きく口を開けて笑うシッマに思わず私も笑みがこぼれる。そんな彼が、仕事で疲れた時は惣菜を買ってこればいいとかご飯を美味しく炊ける人が好きと言ってくれるから、今こうして一緒にいられる訳だ。
「そういえばもうすぐハロウィンだね」
「ん？せやなぁ、もうそんな時期か。どうでもええけど」
食後のまったりとした時間に、先程見た百均の映像を思い浮かべる。そしてボソッと呟いてみると、やはり予想通り。その返答に少し口を尖らせればシッマは不思議そうにこちらを見つめた。
「なんやA、仮装したいんか」
「…別に」
去年はシッマは仕事で、ハロウィンなんてものは存在しなかった。帰って来た頃にはクタクタで、スーツのままソファで寝始めたのは記憶に新しい。そんな彼に少しでもハロウィンを楽しんでもらいたいと思い、スマホを取り出す。検索エンジンに「ハロウィン お菓子」と入れるとそれはそれは可愛らしいお菓子達が現れ、私の心を躍らせた。
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Yuki.aruru(プロフ) - 国民さん» 思った。尚,とっくにハロウィンは過ぎている模様 (2018年12月28日 15時) (
レス) id: 6057cb562d (このIDを非表示/違反報告)
国民 - え？アレスさんの作品神すぎん？ (2018年12月7日 0時) (レス) id: a87cc0cd9f (このIDを非表示/違反報告)
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